公立商業高等学校2024年02月

名古屋市立名古屋商業高等学校

生成AI×キャリア教育で社会課題解決に挑戦

生成AIを活用したキャリア教育プログラムを実施し、生徒が社会課題の解決策を考える授業を展開した事例です。


名古屋市立名古屋商業高等学校は、愛知県名古屋市に位置する公立の商業高等学校です。同校では、2024年2月に「社会問題をAIで解決」をテーマとした、生成AIとキャリア教育を組み合わせた特別授業を実施しました。

この授業は、ニュークリエイター・オルグが企画・実施したもので、生徒が社会課題に対する理解を深めるとともに、生成AIを活用した問題解決の方法を学ぶことを目的としています。

授業の背景

商業高等学校の生徒は、卒業後に企業で働くことが多く、実社会で求められるスキルを身につけることが重要です。特に近年は、デジタル技術を活用した業務効率化や、社会課題に対するビジネスソリューションの提案など、新しい能力が求められています。

同校では、従来のキャリア教育に加えて、生成AIという最新技術を組み合わせることで、生徒の視野を広げ、実践的な問題解決能力を育成することを目指しました。

授業の概要

対象: 2年生 約40名
時間: 100分(2コマ連続)
テーマ: 社会問題をAIで解決
目標:
- 身近な社会課題を発見し、その背景を理解する
- 生成AIを活用して解決策を考える
- チームで協働し、アイデアをまとめて発表する

授業の流れ

導入(20分): 生成AIとは何か

まず、生成AIの基本的な仕組みと特徴について説明しました。ChatGPTのデモンストレーションを行い、どのような質問に答えられるか、どのような限界があるかを実際に見せました。

生徒は、AIが人間のように自然な文章を生成することに驚きながらも、回答が必ずしも正確ではないことを理解しました。

展開1(30分): 社会課題の発見

次に、生徒をグループに分け、身近な社会課題をブレインストーミングしました。各グループは、地域の問題、学校の問題、若者が直面する問題など、様々な視点から課題を挙げました。

挙がった課題の例:
- 商店街の空き店舗問題
- 高齢者の孤立
- 若者の投票率の低さ
- 食品ロス
- 通学路の安全性

各グループは、その中から一つの課題を選び、なぜそれが問題なのか、誰が困っているのかを深掘りしました。

展開2(30分): AIを活用した解決策の検討

選んだ社会課題について、生成AIに質問しながら解決策を考えました。生徒は、以下のような質問をAIに投げかけました。

- 「商店街の空き店舗問題を解決するアイデアを10個挙げてください」
- 「高齢者の孤立を防ぐために、高校生ができることは何ですか」
- 「若者の投票率を上げるための具体的な施策を教えてください」

AIから得られた回答をもとに、自分たちの地域や学校の状況に合わせてアイデアを具体化していきました。

展開3(15分): 発表準備

各グループは、考えた解決策をまとめ、発表資料を作成しました。発表内容には、以下の要素を含めるよう指示しました。

- どのような社会課題か
- なぜその課題を選んだか
- AIを使ってどのように考えたか
- 具体的な解決策
- 実現するための課題

まとめ(5分): 発表と振り返り

各グループが発表を行い、他のグループからの質問や意見を受けました。最後に、AIを使って社会課題を考えることの意義や、今後の学習に活かせることを振り返りました。

生徒の発表事例

グループA: 商店街活性化プロジェクト

課題として「地域の商店街に空き店舗が増えている」を選びました。AIに質問した結果、若者向けのイベント開催、SNSでの情報発信、高校生が運営する期間限定ショップなどのアイデアが得られました。

グループは、これらを組み合わせて「高校生が企画・運営する週末マーケット」を提案しました。商業高校で学んだマーケティングや会計の知識を活かし、地域と学校をつなぐプロジェクトとして具体化しました。

グループB: 高齢者見守りサービス

課題として「一人暮らしの高齢者の孤立」を選びました。AIに質問した結果、定期的な訪問、電話での声かけ、オンラインコミュニティなどのアイデアが得られました。

グループは、「高校生ボランティアによる週1回の訪問と、タブレットを使ったビデオ通話サービス」を提案しました。高校生が高齢者にデジタル機器の使い方を教えることで、世代間交流も促進できると考えました。

グループC: 若者の政治参加促進

課題として「若者の投票率の低さ」を選びました。AIに質問した結果、政治教育の充実、SNSでの情報発信、模擬投票の実施などのアイデアが得られました。

グループは、「高校生による政治情報発信プロジェクト」を提案しました。若者目線で政治の情報を分かりやすく発信し、同世代の関心を高めることを目指しました。

授業の成果

この授業を通じて、以下のような成果が得られました。

社会課題への関心の高まり

生徒は、身近な地域や社会の問題に目を向けるようになりました。授業後のアンケートでは、「今まで気づかなかった問題に気づいた」「自分にもできることがあると思った」という声が多く聞かれました。

生成AIの理解と活用

生徒は、生成AIの特性を理解し、適切に活用する方法を学びました。質問の仕方によって回答の質が変わることを体験し、効果的な質問の重要性を認識しました。

また、AIの回答を鵜呑みにせず、自分たちの状況に合わせて考える姿勢が育まれました。

協働的な問題解決

グループワークを通じて、他者の意見を聞き、議論し、合意形成する力が育まれました。AIから得た情報をもとに、自分たちで考え、具体的な提案にまとめる過程で、協働的な問題解決能力が向上しました。

キャリア意識の向上

社会課題の解決に取り組む中で、自分が将来どのような形で社会に貢献できるかを考えるきっかけとなりました。商業高校で学んでいる知識やスキルが、実社会でどのように活かせるかを実感できました。

教員の評価

担当教員のコメント

「生徒が非常に積極的に取り組んでいたことが印象的でした。普段の授業では発言が少ない生徒も、グループワークの中で活発に意見を出していました。生成AIという新しいツールを使うことで、生徒の興味関心が高まったと感じています。」

「また、AIから得た情報を自分たちの状況に合わせて考える姿勢が見られたことも良かったです。AIを使えば答えが出るのではなく、AIを使って自分たちで考えることの重要性を理解してくれたと思います。」

生徒の声

Aさん(2年生)

「AIに質問すると、自分では思いつかなかったアイデアがたくさん出てきて驚きました。でも、そのまま使うのではなく、自分たちの地域に合わせて考えることが大切だと分かりました。」

Bさん(2年生)

「社会の問題について、今まであまり考えたことがありませんでした。でも、この授業で身近な問題に気づき、自分たちにもできることがあると思いました。将来、仕事でも社会課題の解決に関わりたいです。」

Cさん(2年生)

「グループで話し合いながら、AIを使って調べて、アイデアをまとめるのが楽しかったです。AIは便利だけど、最終的には人間が考えることが大事だと思いました。」

実施のポイント

この授業を成功させるためのポイントは以下の通りです。

1. 明確な目標設定

単にAIを使うことが目的ではなく、社会課題への理解を深め、問題解決能力を育成することを明確にします。

2. 適切な時間配分

生成AIを使う時間だけでなく、グループでの議論や発表準備の時間を十分に確保します。AIはあくまでツールであり、思考や対話の時間が重要です。

3. 具体的な課題設定

抽象的なテーマではなく、生徒にとって身近で具体的な社会課題を扱うことで、当事者意識が生まれます。

4. 振り返りの時間

授業の最後に、AIを使って何を学んだか、今後どう活かせるかを振り返る時間を設けることで、学びが定着します。

まとめ

名古屋市立名古屋商業高等学校での実践は、生成AIをキャリア教育に組み合わせることで、生徒の社会課題への関心を高め、実践的な問題解決能力を育成できることを示しています。

商業高校という特性を活かし、ビジネスの視点から社会課題にアプローチすることで、生徒は自分の学びが実社会でどのように役立つかを実感できました。

この事例は、他の学校においても、総合的な学習の時間やキャリア教育の場面で応用できる実践といえるでしょう。

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